SONY『WH-L600』でゼロから始めるサラウンド生活(実機レビュー)

SONYの『WH-L600』は、同メーカーの最新型のサラウンドヘッドホンである。

しかし、
ここを訪れた方ならご存知の通り、最新型と言っても旧型の『MDR-HW700DS』は2013年発売ながら、多くの項目において最新型の『WH-L600』を上回るスペック(特に対応デコーダー)を誇る。

言うなれば、WH-L600は機能を抑えた廉価版である。

ただし、
廉価版といって侮ってはならず、2018年発売と旧型から5年の時を経て培われた技術や使い勝手の良さが最新型には搭載されており、一部の機能ではWH-L600が優位に立つ。

結論から、私は最新型のWH-L600を購入したが、以下にその比較検討した項目を記述しておくので、ソニーのサラウンドヘッドホン2機種で迷われている方は、選択材料にして欲しい。

新型:WH-L600

旧型:MDR-HW700DS

WH-L600は音声出力の接続方式がシンプルで迷わない

新型のWH-L600における音声接続は、テレビにARC対応のHDMI端子があれば、それにHDMIケーブルを接続するだけで終わる。

もしHDMI(ARC)が無くとも、光デジタルケーブル(WH-L600に付属)を用いて光デジタル端子に接続し、テレビ側の光デジタル音声出力設定をちょちょいと変更すれば終わる。

至ってシンプル。

AV機器、特にAVアンプなどにありがちな背面の色彩豊かな接続端子を見るだけで嫌になってしまう方にとっては朗報だろう。
もはやお湯を沸かしてカップ麺を作るよりも簡単だ。

WH-L600はラックとプロセッサーが一体型の省スペース設計

新型の売りはなんといってもこのプロセッサーの設計だろう。

プロセッサーが充電機能とヘッドホンラックを兼ね備えており、スペースに無駄がない。

旧型のプロセッサーはAVアンプのような独立型だったため、ヘッドホンとプロセッサーそれぞれにスペースを確保する必要があり、テレビ回りが混み合いがちだ。

新型HW-L600と旧型MDR-HW700DSとの比較

以下、前機種との気になる性能の違いをピックアップしてみる。

対応するデコーダーの種類

WH-L600Dolby Digital、DTS、AAC
MDR-HW700DSDolby TrueHD、DTSMPEG-2 AAC、Linear PCM
2ch/5.1ch/7.1ch、Dolby Digital Plus、Dolby Digital
DTS-HD Master Audio、DTS-HD High Resolution Audio、
DTS Express、DTS Digital Surround、DTS-ES、DTS 96/24

この2機種のどちらかを検討するにあたって、
頭を悩ますのがこの旧型と新型で対応するデコーダーの種類の差だろう。

旧型がドルビー・DTSそれぞれの規格に幅広く対応しているのに対し、
新型の対応デコーダーは基本的な物に限られている。

新型で必要十分かどうか。
購入前に自身の視聴環境を再確認しておきたい。

バッテリー持続時間

WH-L60017時間
MDR-HW700DS12時間

いずれも満充電からのメーカー公表持続時間。

新型は5時間の増加となっている。しかし、よほどのヘビーユーザーでも無い限り連続で10時間以上も使用することは無いだろうから、どちらも必要十分な持続時間だ。

充電方式

WH-L600プロセッサーのラック部分に乗せる
MDR-HW700DSMicroUSBを繋ぐ

新型のWH-L600は手間がなく、ヘッドホンを使わないときの置き場所にも困らない。
デコーダー等は下位互換ではあるが、こういった使い勝手に一日の長があるか。

他社メーカーの充電台のようにヘッドホンを折りたたんだりすることもなく、頭から外してそのままストンとラックに置くだけだ。

実売での価格(2019/6/15amazon)

WH-L60023,491円
MDR-HW700DS34,400円

 

実売で約1万円程の価格差がある。

WH-L600はテレビ付属の薄っぺらい音質から卒業したい方にオススメ

WH-L600は、機能こそ旧型より絞られる物の、影響があるのは一部のサラウンド音声で収録された映像作品に限られる。

そうだとしても、
WH-L600でも2.0chや5.1chからアップコンバートし最大7.1chのバーチャルサラウンドで再生できるわけで、今までテレビのスピーカーや小さいサウンドバーなどを使用していた方にとっては、WH-L600は相当な音質のアップグレードになるだろう。

WH-L600は接続も容易で、場所も取らない。
まさにサラウンド環境がゼロの状態から始める第一歩にふさわしい。

WH-L600のちょっと気になる点

基本的には優等生のサラウンドヘッドホンだが、いくつか気になる点が存在する。

  1. ワイヤレスヘッドホン特有のホワイトノイズの存在
  2. 頭頂部の分割されたクッションパッドの装着感
  3. 長時間の装着は蒸れる

1.ワイヤレスヘッドホン特有のホワイトノイズの存在

耳をすませば聞こえるレベルで、サーといったホワイトノイズがある。

このWH-L600は2.4GHzの無線タイプだが、他のブルートゥースタイプのヘッドホンと同様の症状だ。

このホワイトノイズは、現在のワイヤレスタイプヘッドホンには付き物で、無くす方法は私の知る限りでは無い。

しかし、
このホワイトノイズとは直接の関係はないが、自宅のWi-Fiなどの通信環境の設置場所を調節する事で、いくらかの低減を図れる可能性はある。

2.頭頂部の分割されたクッションパッドの装着感

WH-L600の頭頂部分はプロセッサーに装着時に通電する充電ポートが配置されている。

そのため、
左右にクッションが分割されており、装着感を少し悪くしている。

数時間程つけると、分割されたクッション部分が少し痛くなってくるので、ズラして調節する必要がある。

3.長時間の装着は蒸れる

イヤーパッドは肉厚で、装着感は良好だ。

しかし、
夏場などの気温が高い時期はどうしても蒸れてくる。

オプションでベロア調のイヤーパッドがあれば嬉しいが、今の所は販売されていない。

サラウンドヘッドホンとサウンドバーとホームシアターセットの選択

住居の一室に防音仕様のホームシアター専用ルームで映画、アニメ、スポーツ観戦三昧。

こう思っていた時期が私にもあった。(まだ思ってる)

ただし、
昨今の日本の住宅事情でそれが叶えられる人が一体何人いるのだろうか。

特に、
賃貸住宅に住んでいる人にとっては、音に関する問題はとてもデリケート。
階下、隣に迷惑にならないように必要以上に静かに暮らすことを余儀なくされている人もいるだろう。

賃貸であれば、防音賃貸部屋を借りない限りは、ホームシアターのサラウンドセットで迫力の音声を楽しむ事は実質不可能である。

一軒家の持家であったとしても、
防音室が無く、リビングで大音量を響かせ続けていては家族からのクレームは避けられない。

そうなってくれば、選択肢は2つ。

  1. 昨今流行りのサウンドバーで楽しむ
  2. サラウンドヘッドホンを装備して楽しむ

1.サウンドバー

このサウンドバーを用いれば、テレビ付属の音声と比較して進化した音質を楽しむことは出来るだろう。

私自身もサラウンドヘッドホンという選択肢に気づく前は、サウンドバーの購入を考えていた。

特に、YAMAHAの『YAS-108』は手頃な価格で5.1chの仮想サラウンドを構築することが出来る。

しかし、それもまた音量との兼ね合いがあり、特に深夜帯であれば満足な音量で楽しむことはできないかもしれないし、低音の弱さにも不満が残るかもしれない。

2.サラウンドヘッドホン

であれば、
答えは②だ。

…完全な出来レースで恐縮。蛇足。ご覧頂き感謝。

 

 

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