この書籍は、
トレードにおいて障害となる『勘』や『感情』を排除することを目的にした、『イグロックメソッド』を内容の大部分を使って解説している。
著者のイゴール氏は、
「トレードにおけるテクニカル的理論を理解することはそれほど難しいことではない。」
とする。
しかし同時に、
「トレードにおいて最も難しいことは、テクニカル理論に基づいたトレードの障害となる『勘』や『感情』を排除することであり、それをコントロールしなければ、マーケットにおいて利益を上げ続けることは出来ないだろう。」
とする。
そういった、
非論理的(感情全般)な思考からくるストレスに悩むトレーダーに提唱するのが、
裁量的判断を残しつつ、システムトレード的手法によって感情を排除する『イグロックメソッド』である。
3大市場から分析した平均値幅の原則
FX市場における3大市場は、
- 日本
- ロンドン
- ニューヨーク
と言われている。
本書と同様に少し広義の意味で、
- アジア
- 欧州
- ニューヨーク
と定義しても全く問題はない。
ニューヨークが終われば、少し間を置き(正確にはオセアニア市場をつなぎ)日本が始まる。
つまり、
FX市場は世界中をバトンリレーのようにつなぎ、24時間回り続けるマーケットであるといえる。
そんなマーケットにおいて著者は、
3大市場間で日々の平均値幅にパターンが存在しており、そのパターンはある一定期間ごとに変化していっていると提唱する。
統計的有意性に基づいたチャートパターン
登場するチャートパターン自体は、
経験のあるトレーダーであればどの形も知識として知っているものであると考える。
しかし著者は、
そのチャートパターン後から起こり得る動きを、
統計的な観測に基づいて、有意性の順序をつけつつエントリーを行う。
- 基本的に仕掛けても問題ないパターン
- リスクを伴うパターン
- 絶好の仕掛けパターン
といったように、
分析したチャートパターンをすべて解説しつつ、実際にどの程度までリスクのあるトレードを実行するかは、トレーダー本人に委ねている。
まとめ
この書籍は、比較的初心者におすすめしたい物となっている。
1章は、
FX市場そのものについてや、取引口座・資金の解説。
2章は、
トレードにおける心理的問題に側面をあてて解説しており、同時にファンダメンタル分析についても簡単ではあるが解説されている。
それ以降は、
主にイグロックメソッドからなる実践的なトレード分析となっている。
章の組み立て方としては、よくある教科書的な流れとなっているので、
トレードを初めて比較的間もないトレーダーにとっては、読み進めやすい物となっているだろう。
特に、
まだ主たるチャートパターンの把握が追いついていないトレーダーにとっては、大きな一歩を踏み出すきっかけとなる書籍となる。
インターネットに無料で公開されているチャートパターンメソッドのみを現在の知識の拠り所としているのであれば、是非この書籍を一読されることをお薦め致します。