プライスアクショントレード入門(パンローリング出版/アル・ブルックス著) | |
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元眼科医の医学博士が書いたプライスアクショントレードの専門書。 著者はトレードに置いて無駄な指標は一切使わない。そして、プライスアクションによるトレードはあらゆるマーケットに対処できると説く。 20年超のキャリアで培われた深い洞察力で、チャート(主にロウソク足)を1本1本丁寧に読み解いていく。 | |
おすすめ度 | |
読みやすさ | |
内容充実度 |
所感
はじめに、この「プライスアクショントレード入門」は決して初心者向けではない。
原題は「Technical Analysis of Price Action for the Serious Trader」
である。
つまり、
アル・ブルックス氏は「入門書」として本書を書いていない。
あくまで真剣なトレーダー向け、トレードで勝てるようになるために努力を惜しまない、そんなマーケットにすべてを捧げる覚悟のあるトレーダーに向けて書いている。
この辺りの邦題との齟齬は、
日本語翻訳書出版にあたって、書籍販売を伸ばしたい出版社の意向もあるのでしょうか。
その影響か通販サイトのレビューでは、
- 書籍が難解過ぎる
- 翻訳がダメ
といった酷評と、
- 非常に読みごたえのある本
- 中級者向け、理解できると奥深い
といった好評の、両極端なレビューが存在している。
言い回しが難解なのは、著者が元医者(恐らく著者は医学専門書を身近な書籍としているのではないか)というのも関係があるのかもしれない。
なので、
この書籍をおすすめする方としては、
ある程度の相場経験があり、より深い洞察を求めているトレーダー。
もしくは、
経験は浅いがマーケットに真剣に向き合う覚悟があるトレーダー。
とさせていただきたい。
アル・ブルックスが定義する3つの領域
- トレンド
- レンジ
- リバーサル
アル・ブルックスは、マーケットの状況を3つに分けている。
それにより、
それぞれの状況に応じた柔軟なトレード方法を選択することが可能となっている。
1.トレンド
ブル派ベア派どちらかが一定時間の間、マーケットを継続的、もしくは断続的に支配している状況を指す。
それは足1本で終わることもあるし、数時間続くこともあり、そして数日間以上にわたることもある。
2.レンジ
ブル派ベア派がお互いに拮抗している状況。
この領域においては強いモメンタムは現れずらく、トレンド思考のバイアス病にかかると投じた資金は儚く散る。
3.リバーサル
マーケットが上昇トレンドから下降トレンドに移らんとする状況。
そして、著者はトレンドからレンジに移る状況も反転(リバーサル)と説く。
レンジからトレンドへと移行していく気配。
トレンドからレンジへと移行していく気配。
これをいち早く察知することがマーケットで大きな成果を上げる鍵となる。
ロウソク足1本1本から読み解くブル派ベア派の勢力図
世に論されているマーケットにおけるテクニカル分析の考え。
ダウ理論、エリオット波動、フィボナッチ数列といった概念的なものから、
トライアングル、ウェッジ、スパイク、フラッグといったチャートパターン。
こういった考えを先行研究としながらも、
アルブルックスはロウソク足1本1本にまでその意味を見出し、深い洞察をもってマーケットを読み解いていく。
それにより、
他の多くのトレーダーよりもはるかに効率的なリスク・リワードレシオを得ることを達成している。
ブレイクアウトトレーダーの1歩先を行く「プライスアクショントレーダー」
ダウ理論での上昇トレンド、下降トレンドの定義は基本的に直近のスイングハイ・スイングローでの高安の移り変わりを見る。
アルブルックスはこの考えを前提にしつつ、ロウソク足1本ごとの高安についての移り変わりを見る。
これにより、プライスアクショントレーダーはブレイクアウトトレーダーよりも先にトレードを仕掛けることができ、ブレイクアウトトレーダーが投じる燃料により、プライスアクショントレーダーは悠々と一部を利食うことができると説く。
プルバック、トレンドラインから見るチャート模様の移り変わり
すべてのトレンドの終了は、トレンドラインをブレイクアウトすることから始まる。
プルバックははじめは浅く、徐々に深くなる。
これはだれもが感覚的に、理論的に理解している話だが、
このことに関しても、多くのページを使って自己信頼足り得る著者の理論を展開させている。
書評まとめ
端的に、この書籍のトレード手法は人を選ぶものとなっている。
本書を読み解き、完全に理解出来たとしても、それを実行できるとは限らない。
アル・ブルックス氏のトレードはいわば、
多くの無駄を削ぎ落とすことで見えてくる極限の領域手法のように見える。
氏は、トレードにおいて上位足すら基本的に確認しない。
日足、4時間足、1時間足などの上位足を見ず、トレード執行足の『5分足』のみを根拠の拠り所とする。
氏もまた、フラクタル理論を肯定しており、
「大きな物の形と微細な物の形は相似形となる」と説く。
そして、
多くのトレーダーが上位足からの落とし込みを重視する中、
氏は逆に、微細な物から大きな潮流を読み解こうとする。
これはどちらが好みにあうか、自己信頼足り得る物となるか、各々による所だと考える。
ただ、アルブルックス氏の手法が合う合わないにしても、
この書籍を読み解くことで、あなたのマーケットに対する洞察が深まる事を願って、この書籍の書評を終わりとさせていただきます。
プライスアクショントレード入門(パンローリング出版/アル・ブルックス著) | |
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元眼科医の医学博士が書いたプライスアクショントレードの専門書。 著者はトレードに置いて無駄な指標は一切使わない。そして、プライスアクションによるトレードはあらゆるマーケットに対処できると説く。 20年超のキャリアで培われた深い洞察力で、チャート(主にロウソク足)を1本1本丁寧に読み解いていく。 | |
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